エマナックグループが現場経験を重要視するワケとは?
答えを、現執行役員 四宮尚士が自分自身の経験から語ります。
エマナックとの出会いは大学研究室の廊下に貼り出されていた求人票でした。「一番給料の高い会社!」と大きく殴り書きされていました。後から知ったことですが、後の上司がこの研究室出身で教授とつながりがあり、求人票を置いていたようです。求人票を見ると守口市の会社でした。当時私は守口市に隣接する鶴見区に住んでおり、守口市といえば「レンコン畑」のイメージしかありませんでした(笑)。「そんな土地にどんな会社があるの?」という興味本位で見学に行き、田中熱工株式会社の敷居をまたいだのが、全ての始まりです。
実は私は大学から推薦された就職先が既にありました。大手企業です。しかし、全員の名前が覚えられる規模の会社に就職したいなという気持ちが心のどこかに引っかかっていました。見学の最後に社長室にとおされ、当時の社長(現会長)から言われた言葉で、今でも鮮明に残っている言葉があります。「鯛のしっぽになるか、サンマの頭になるか。どっちがいいんや?」という言葉です。大きな組織の歯車の一部になるのではなくて、大きな仕事をする機会を掴みたいと思い、踏ん切りがついた私は、大学の紹介を断って田中熱工株式会社へ入社しました。
「全く歯が立たなかった」
入社してすぐの技術部時代
大学工学部出身の私が初めて所属されたのは、技術部でした。主な仕事内容はクレーム処理。わかりやすく言うと、要求通りの性能を満たしていないねじを調べて、原因を特定する仕事です。
全く歯が立たなかったですね。工学部出身なので一通り勉強していた自負はあったのですが。何が原因なのかさっぱり分かりませんでした。
そもそも、現場で話される先輩たちの言葉の意味が分からない。用語が分からない。そんな状態が続きました。
「なぜ?!」と思った突然のエマナック西日本への転属
そんなある日、上司から命じられたのが、エマナック西日本への転属。エマナック西日本は表面処理の会社ですよ。しかも、現場の仕事をするという。熱処理から化学の分野へ。しかも、大学出身なのに現場作業。正直、「なぜ!なぜ?なぜ?!」という気持ちで一杯でした。今振り返ると、上司の的確かつ優しい判断だったのですが、気づくのに時間がかかりました。
点と点が繋がる「現場」で
鍛えられた日々
エマナック西日本では、何でもしました。現場作業も営業も検査も。エマナック西日本で仕事をして気付き始めたことがあります。
結局のところ、熱処理もそうですが表面処理も設備産業です。その設備に手を加える。そうすると生産効率が上がる。品質も上がる。結果がダイレクトに分かります。何をしたらどうなった、という原因と結果が明確で一直線です。さらに古くなった設備を入れ替える。故障した箇所を修理する。そうすると、起きている事象の原理が分かるようになります。
そうですね、ある出来事は印象深く記憶に残っています。当時の工場には、全く同じ表面処理設備が2台ありました。同じ設定条件で同じ品物を投入します。でも、性能試験をすると結果が異なっていました。「なぜ?」そんなモヤモヤを抱きながら、ある時その2台ある設備のメンテナンスをしました。すると、バリのある一つの部品の向きが2台で表裏逆になっていることに気づきました。これがなんと原因でした。こんな事、大学で習わないですよね。本にも載ってないです。
このような経験を繰り返して点と点が繋がることを数多く経験できました。前に何故だろうとか気になっていたことが、後々になって理屈が分かってきます。
座学だけでは限界。「現場」で学ぶことが遠回りだけど、一番の近道
座学は大事です。でも結局、座学で学べる事には限界があります。だから、技術部に在籍していた頃はクレームに歯が立たなかったのです。しかし、エマナック西日本に転属になって、現場に出て設備を触って、メンテナンスをして、故障を直して、部品を入れ替えて、現場でしか学べないことが沢山あるのだと気づかされました。技術部の上司はそれを見抜いていたのだと思います。それで、現場から学んで来い、と。遠回りですが、一番の近道をさせてもらったと感謝しています。