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2024年 初春号

能登半島での地震により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

一日でも早い復興が訪れることを心より願っております。

 

田中@社長からのごあいさつ

初春の候、時下ますますご清祥の段、お喜び申し上げます。

本年もこのエマナックニュースにて、皆さま方へ新春のご挨拶をさせていただきます。

お客様のご愛顧並びにスタッフの働きにより、このように新しい年を迎えられたことを心より感謝しております。

さて、昨年のエマナックニュースにおいてご紹介しました新しい複合皮膜処理エマルーチェの新工場建設計画ですが、昨年1月末に中止を決断しました。

「現時点でエマルーチェの技術的な熟成度を検証すると、時期尚早」との結論に至りました。

“動くときも早いけど、止まるときも早い”という私らしい経営判断だと自負しています。

エマルーチェに関しては、引き続き研究開発並びに営業活動を今年も積極的に行っていきますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 

中国で感じたコロナ後の新しい環境

2023年を振り返ってみると、新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、コロナ禍前の社会に戻ると期待していましたが、実際には新しい環境に変わったと感じる機会が多くありました。

例えば、中国ではこれまでの厳しい入国規制も昨年緩和されました。

そのため、この1年間で東莞工場を6回訪問することができ、9月以降は、コロナ禍前のように毎月訪問しています。

当初は入国に関してはアプリによる健康チェックなどがありました。今は完全に以前に戻ったわけではありませんが、行動制限もなくほとんど規制の無い状態です。

しかし、香港から東莞に向かう鉄道路線が廃止されていたり、贔屓にしていた飲食店が軒並み閉店していたりと、世界の変貌を痛感しています。

特に新設された鉄道経由で入国し、東莞まで移動することは、不便さを感じる部分もありましたが、むしろ今では新しい経験ができる良いチャンスと捉えて楽しんでいます。

 

事業ー信念を貫いた喜び

さて、その中国ですが印象深い出来事があります。

中秋節に月餅を手にお得意先様を訪問しました。

そのお得意先様というのは、東莞から約1,800Km、車で行くと4日ほどかかる天津市のお客様です。

話しを初めて聞いた時には、「なぜ、そんな遠方のお客様からの注文が?」と驚きました。

というのも、そのお客様から東莞工場までの道中には、いくつものジオメット処理をする加工工場があります。

それにも関わらず、遠路はるばる陸路を輸送し、弊社に加工処理委託をしてくださっています。

同じようなお得意先様が四川省にもあります。東莞から約1,200Km離れた場所です。

エマナックグループの納期・品質を信頼して頼ってくださり、遠く離れた地域のお客様も増えていることは、大変うれしく感じています。

東莞工場を立ち上げてから約20年が過ぎます。

目指していた会社の形というのをずっと貫き通し、中国全土からお客様が増えている様子を目にすることができているのはとても嬉しく、スタッフの尽力にもあらためて感謝する機会となりました。

 

八潮工場2号炉入替のご報告

さて、国内に目を戻すと、2023年には八潮工場の2号炉入替工事もありました。

おかげ様で安全に工事を終える事が出来、9月1日に火入れ式を行いました。

新型炉の付帯設備に係る諸々の工事は、まだ残っていますが、リニューアル工事の大きな節目を滞りなく終えることができました。

この場をお借りして、関係各位のご協力にて、無事に工事を終えたことを感謝申し上げます。

 

労働力不足を見据えた新たなチャレンジ

2024年ですが、弊社は大きなチャレンジに挑みます。

それは、生産現場への週休二日制の導入です。

これは、土曜日、日曜日の2日間を通して連続炉を停止し、生産現場の従業員を週休2日とする改革です。

当然、加工処理ラインの稼働時間は減少しますので、経営的にも大きなチャレンジとなります。

この週休二日制導入の背景のひとつは、労働者不足に伴う人材採用が年々厳しくなっていることです。

最近の採用市場においては、土曜日、日曜日が休みの週休二日制でなければ、他業種に人材が奪われ離職したり、採用が難しくなる傾向が続いていました。

そのため、2023年10月から試験的に守口真空工場および、清水工場において週休二日制を導入しました。

さらに全社的に展開できるよう、今年の早々には、社内議論をより高めていきたいと考えています。

並行して試験的に行っている工場でのデータ収集を進め、お得意先様の理解を得る努力を払い、この大きなチャレンジを成功させたいと願っています。

加えて、労働力不足に対応するための別のチャレンジにも挑みます。

それは、労働者としてのベトナム人の人材活用です。

ベトナム人と言っても、技能実習生ではありません。

正規の就労ビザを取得し、日本での永住を視野にいれた形での採用となります。

共に働くベトナム人が、日本語をマスターし、家族と一緒に日本に永住し、将来的にはその中から管理職者が誕生すれば、本当に素晴らしいことだと考えています。

2024年の年頭には、杉戸工場に2名、清水工場に4名のベトナム人を採用する計画です。

日本の少子高齢化という現状を見据え、今後ますます厳しくなるであろう人材採用を乗り切る手だてとしてこのチャレンジについても成功させたいと熱望しています。

 

恩人アクセル氏との絆と、precote®提供の思い

さて、最後の話題として、昨年からねじ業界を大きく揺るがしているスコッチグリップ(SG)の原材料供給停止問題について触れたいと思います。

昨年の初夏、ねじの緩み止め加工処理で使用されているスコッチグリップの原材料供給停止が突然発表されました。

これにより、これまでスコッチグリップを用いて緩み止め加工処理を行っていた企業だけでなく、緩み止め加工処理を委託するねじメーカー・商社を含めたねじ業界全体を大きく震撼させる事態となっています。

事態の解決策として、弊社タナカプリコートが提供しているprecote®(プリコート)が注目を集めました。

このprecote®は、スコッチグリップと同じく溶剤系の緩み止め原材料であり、スコッチグリップの供給が停止された今、代わりの緩み止め加工の原材料として、様々なご相談やお問い合わせを受けました。

そのため、昨年11月に、precote®を供給している独ミュンヘン市に位置するオムニテクニック本社を訪問しました。

precote®の原材料を、エマナックが代理店として積極的に皆さまへ供給できるようにセバスチャン・ゾウ社長との合意を得て、1月中を目処に改めて代理店契約締結の予定です。。

外部要因による販売拡大とは言え、このprecote®を日本国内において積極的に提供できることは、私個人として大変感慨深い思いがあります。

precote®は、2009年に当時の社長ハインツ氏と社長の右腕のアクセル氏との協議によって国内での販売を開始しました。

特にアクセル氏は、一個人としての私、田中良典を高く信頼してくださっただけでなく、弊社が、日本のねじ業界において果たしている役割を高く評価してくださり、当時の社長を説得する形でprecote®の代理店契約を結ぶことができた恩人です。

しかし、残念なことに、2019年にアクセル氏が他界されたとの訃報が届きました。

直ぐにでもドイツに行き、最後に一目でも拝顔して御礼を申し上げたい気持ちがありましたが、当時はコロナ禍でありその願いをかなえることはできませんでした。

今回は、その後初めてのドイツ訪問であり、5年ぶりになります。

彼の墓標にお参りをする事は、遺族のご意向を尊重し控えることにしました。

しかし、ミュンヘンの地に降り立った時、おのずとアクセル氏の存在を想い、ミュンヘンの街に向けて心からの感謝の祈りを捧げて参りました。

アクセル氏から委ねられたprecote®については、2009年以降代理店としての活動を行うも、競合他社製品との関係もあり、当初想定したようには上手く進まず、彼の信頼に応えることができなかったという後悔の念を長年抱き続けていました。

そのため、今このようにprecote®を積極的に販売・供給することができることを、とても嬉しく感じています。

これは単に、原材料液を提供するということではありません。

亡くなったアクセル氏の志を広げるという私の決意も込められています。

今年は日本の市場においてprecote®の拡販に注力して参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。

※precote®は、独オムニテクニック社の登録商標です。

 

2024年もエマナックグループをよろしくお願いします!

最後になりますが、本年も前進しチャレンジし続けるエマナックグループをよろしくお願い申し上げます!