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2010年 初春号

田中@社長からのご挨拶

初春の候、時下ますますご清祥の段、お喜び申し上げます。
2008年夏からの日本経済全体の大幅なダウンにより市況と同様、当社にとっても昨年は厳しい一年となりました。その環境の中で、何を行い、何を生み出し、何を社会に伝えるべきかを考える一年でもありました。

その中で、原点に還って、社是である『意』に立ち返えることになりました。この『意』とは、”心の音”とも解釈されます。つまり、お客様の心の中の本音の声を、こちらも心をもって受けとめ、考え尽くしていくことを指します。

昨年の1月から、1社1社のお客様に、当社の営業をうかがわせました。その成果として、当時の経済環境がいかに厳しいかを知ることができ、また当社に対して数々の叱咤激励を頂戴することもできました。この時の厳しいお言葉の一つ一つを真摯に受け止めてきたことが夏以降の糧ともなってまいりました。

当時、皆様方にはきちんとお礼を申せていなかったこと申し訳ございませんでした。このメールニュースの場をかりて、皆様のお声の一つ一つに対し厚く御礼申し上げます。

さて、本年最初のエマナック・ニュース、謹んでお届けいたします!

第2の創業  『意』持って、誠を貫く

昨年は父と話す機会が多かった年でした。
父自身が、未熟な経営者である私の采配を案じてやや強引に働きかけてくれたことも要因であったように思います。私もまた、2002年に父から社長の席を譲り受けてから初めて経験した不況の中で、こういった時期を何度となく乗り越えてきた父の経営を、学びたい、教えてほしい、という思いを抱いたことも要因でありました。

しかしながら、父は具体的な事業の内容を、私に教授することはしませんでした。ただ、繰り返し、『意』の精神を忘れるなということを私に言い続けてくれたのです。思えば、熱処理の技術や経営者としてのバックボーンのない父が、自ら田中熱工を創業していままで、こうして幾多の試練を乗り越えながら、事業を成長させてきたことについてその本質的なことを、深く理解する機会はほとんどありませんでした。

『意』 という言葉も、頭では理解しているつもりであっても、行動のすべてがそうであるのかというと、自分でも疑わしいぐらいでした。ところが、父という人間は、そのすべてが『意』であるということに気づかされました。ネジの熱処理の領域に、専業メーカーがなく、「持ってくれば焼いてやる」というスタンスの熱処理会社だけであった時代、父はここぞとネジ熱処理の専業会社を創業し、「焼かせていただきます」「引き取りに行きます」「お届けいたします」という新たな営業姿勢で、御取引先を増やしたと聞きます。表面処理やゆるみ止め塗布の事業設立も、すべてはこちらから挑んだものではなく、お客様が困っておられて、近郊に出すところがなく、「なんとかやってもらえないか」という声を聞いて未経験の領域でありましたが、進出したと聞きます。

すべては、お客様の悩みや相談から動き出しているのです。言い方を変えると、「困っておられることは、一手に引き受けよう」というスタンスが、父がやってきた経営の道でした。景気がよくなって自信が出てくると、経営者はこの『意』の精神を失ってしまうのではないかと気づかされました。父にとっては、事業を成功させることよりも、多大な利益を出すことよりも、お客様の悩みに応えることに、すべてがあったわけです。

この身近で、私にとっては尊敬する一人の経営者の生き方を私もまた、第2の創業者として、ここに実践していくことを皆様にお約束いたします。すべてのお客様の「声」を受けとめ、困難を恐れず、誠をもってその実現のために尽力いたします。「田中熱工があったから、あの時を乗り越えられた」そんな言葉を投げていただけるよう、今年は粉骨砕身いたします。

エマナック・技術研究所、本格稼動

私たちエマナックグループは、ネジ・ボルト・締結部品メーカー各社の「製品開発の技術パートナー」となることを企業使命と考えています。それを目指し、従来から進めてきた”エマナック・技術研究所”について、本年は本格的な稼働を行っていきます。

具体的には、各種の高耐食試験機、走査型電子顕微鏡等を配置したネジ・ボルト・締結部品に関するさまざまな環境試験が可能な場を西日本では大阪府守口市、東日本では埼玉県杉戸町に設けます。製品開発の技術パートナーとしての側面を持つことで、これまでお取引の少なかったお客様にもエマナックグループに相談していただける環境が整いますので、環境試験でお困りの際は是非エマナックグループにお声がけ下さい。

その他のトピックス

  • 独オムニテクニック社との合弁会社設立
    ヨーロッパにあるゆるみ止め加工メーカーの「BIG3」の一角であるオムニテクニック社と共同出資(エマナック株式会社90%、独オムニテクニック社10%)で、資本金900万円の合弁会社を2010年2月17日に設立します。日本では普及のないオムニテクニック社の意向と、エマナックグループの意向がマッチし、合弁会社を設立する運びとなりました。オムニテクニック社製品を自社で使用すると共に、日本の塗布加工企業に対して営業活動を行ってまいります。
  • 本年7月、杉戸工場のライン増設
    昨年の3月に稼働オープンした杉戸工場のライン増設を以前から予定しておりましたが、長引く厳しい市況の中、増設が行えておりませんでした。しかし、各社メーカー様には杉戸工場で調質したボルトの品質確認や、工場などの見学を通じて弊社の技術・設備に対して確かな確証を得ております。この7月のライン増設によって、京都の亀岡工場と共に杉戸工場も2ラインとなり、今までよりも早い即納体制と幅広いニーズ、そして、「熱処理企業内でのリスクヘッジ」への対応を目指しています。