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2010年 夏号

2010年 夏号バックナンバー

田中@社長からのご挨拶

ワールドカップ南ア大会、「岡田ジャパン」の戦術から考えたこと

皆様、残暑お見舞い申し上げます。ワールドカップ南ア大会における「岡田ジャパン」の戦いぶりに、明け方近くまで酔いしれた日々も終わり、良くがんばった選手たち以上に岡田監督の采配のあり方に、振り返って感慨に浸っている今日この頃です。

正直、大会前には日本チームと韓国チームとの比較の中で、韓国の方が良い成績を残すのではないかと予想していました。やや、冬季オリンピックでのキム・ヨナと浅田真央との対決イメージが重なっていたのかもしれませんが、岡田ジャパンよりも韓国チームの方が戦略的な攻め方をするように感じていました。

ご存じの通り、結果は同じベスト16でしたが、日本はパラグアイと引き分け(PK戦で惜しくも敗れましたが)、韓国はウルグアイに2-1で敗れるなど、結果としては日本の戦績が上回る結果でした。自分の予想は見事に裏切られたわけです。その最大の要因は、「岡田ジャパン」の戦術にありました。相手がどこであろうと、守備を強固にして、確実にして、少ないチャンスで得点をするのが、戦術として「あり」なんだと学びました。

これをいまのエマナックグループに置き換え、私たちは、「何をいま、死守しないといけないのか?」と考えました。社内の幹部が集まる製販会議で問いかけてみると、ある者は「利益」と言い、ある者は「品質」と言い、ある者は「従業員」との答え。私の答えは、「信用」の2文字。田中熱工、田中ダクロ、タナカプリコートそれぞれに、お客様、地域社会、従業員と仕入先様の信頼関係が何よりも大切で、それを守らなければいけない。それがグループの存在価値であろうと改めて思うものです。

思えば、私が社長に就任したのは、2002年。ちょうど、日韓共同開催のワールドカップの年でした。2006年のドイツ大会の時を境に、中国や名古屋、京都、埼玉等々にて新しい会社や工場の立ち上げを行ってきました。つまり、攻めの布陣です。しかしながら、ここにきて岡田ジャパンの戦いに学び、「守らなあかん」という自覚を得ました。その守りのために、いますべきことが、「人材教育」であると気づきました。あるいは社員のための環境づくりであると。ここ数年も、就業規則等の見直しや評価制度の改定ほか、社内の人員的な財産の分析と再編成を進めてきました。

しかしながら、本気で「守る」という姿勢であったのかは疑問が残ります。これからの数年間は、挑戦的な設備投資は控えて、人材の教育と強化という内部充実にシフトしようと考えます。目標は「世界に向けて」、しかしながら、そのために今は徹底して「守っていく」姿勢を貫きます。これからも、エマナック・グループにご期待ください。

エマナック・グループ トピックス

  1. エマナック総合研究所(大阪・守口)での各種試験機稼働
    大阪本社(守口)に隣接するエマナック総合研究所にて、この夏2つの試験機が本格稼働します。その一つは、「複合サイクル(高耐食性)試験機」です。日本ねじ工業会をはじめ、関東、関西の各ねじ組合等においても、次世代を考えた新素材や難加工製品の研究テーマが取り上げられています。こうしたニーズに直結すべく、当社のエマナック総合研究所にて導入し、本格稼働する運びとなりました。もう一つは、製品の成分分析も可能な「分析機能付走査型電子顕微鏡」です。ねじ・ボルトの製造段階で発生する「不良」の中身を分析し、その要因を追求することで、次なる再発を防ぐなど、高品質製品を送り届けることが使命のねじ・ボルトメーカー各社の強い味方となりえます。製品の研究開発から製造工程の不良率の改善や工程の見直しなど、エマナック総合研究所は、広く皆様方のニーズにお応えいたします。
  2. エマナック杉戸工場(埼玉)の第2ラインの本格稼働
    2009年、埼玉県北葛城郡杉戸町に設立した新会社「株式会社エマナック東日本」杉戸工場ですが、関東圏を中心とする多くの取引先各社の評価を得て、この夏にいよいよ第2ラインが稼働します。杉戸工場では、太径サイズの自動車用ボルト及び部品等を主体にした調質専門工場と位置付けて、関東・東北・東海圏のユーザー向けに受託加工を行っています。

    ※エマナック東日本 杉戸工場詳細
    所在地は埼玉県北葛城郡杉戸町193-9杉戸深輪産業団地。総敷地面積2008.69平方メートル、工場棟および事務所棟(2階建)面積1169.9平方メートル。代表取締役は田中良典、工場責任者は関東事業統括の惣慶 剛、従業員数は25程度。資本金1,000万円(株式会社エマナック100%出資)。(投資金については省略)事業内容は金属熱処理加工、主に太径サイズの自動車用高強度ボルト及び部品等に無酸化焼入焼戻し(調質)。(TEL 0480-38-1010 FAX 0480-36-7700)

  3. 本年9月、グループ全カンパニーにて「ISO9001」、「ISO14001」の取得へ
    本年9月、エマナック・グループ国内6社(田中熱工株式会社、田中ダクロ株式会社、タナカプリコート株式会社、株式会社タナカプリコート 名古屋工場、株式会社田中熱工 京都工場、株式会社エマナック 東日本)が揃って、ISO9001、14001の審査を受けることとなりました。これらが成立すれば、グループ全カンパニーにて、「ISO9001」、「ISO14001」の取得が完成し、品質・環境両面からお客様を支援していく形となります。

田中@社長 トピックス

ねじ関連企業の次世代経営者層の韓国交流団ツアーに参加

去る7月18日~20日、ねじ関連企業の次世代経営者層による有志が交流団を結成し、韓国を訪問しました。私、田中良典も、企画運営の担当として、このツアーに参加いたしました。

内容は、現地のねじ製造業、および圧造機械メーカーの合計3社の視察と、韓国ねじ業界の若手で構成する『金友会(クムウフェイ)』会員との交流を図ることにありました。今回の実施は、昨年の台湾高雄「五地域ねじ協会交流会大会」において日本、韓国から参加していた若手中心のメンバーによる名刺交換を行ったのが始まりで、その後、交換会以前より知人関係の間柄にあった私と、李廷祐氏(永信金属工業㈱社長)がコンタクトを取り合う中で、どちらからともなく「日韓の同業界に携わる次世代の経営者層がネットワークを築くことも必要」との認識から交流会の展開へと結びついてきたものです。

日本交流団は、マツダ株式会社の松田英成団長を筆頭に、ねじ、パーツメーカー並びに熱処理・表面処理等の関連企業の13社から13名の次世代経営者と、業界誌の記者2名を加えた総勢15の一行となりました。訪韓の日程では、各地の現地工場や設備の見学などを通して、世界同時金融危機以来、いち早い経済の立て直しを行ってきた韓国のサムスンや現代自動車などの企業発展を支えている韓国「ねじ」製造の規模と先進設備を目の当たりにし、これまで「どのようになっても日本が優位」と高を括っていた自分の先入観が、見事に崩れるような衝撃を受けました。

世界競争の中で、本当に日本のメーカーは生き残れるのか、あるいはそれを支える日本のねじメーカー、ねじ関連企業は何をすればいいのか、深く考えるきっかけとなりました。

その他のトピックス

Let’s make the future with Emanak!を企業スローガンとして発信

ワールドカップ南ア大会での岡田ジャパンからの学び、そして今回の韓国ツアーでの学び等々、いま、世界の中で私たち1人ひとりが何をしていかないといけないのか、深く考えるようになりました。その中で、やはり考えなければいけないのは、「品質」や「機能」だけに固執した製品開発の姿勢ではなく、世界の中で本当に「売れる」商品を創っていく必要があるのではないかということです。

しかしながら、本当にそれに気づいて、世界の人達の心を受け止めるものづくりができているのか?やや疑問を感じてしまうことも事実です。私たちができることは、そのものづくりの中でも、狭い領域ではありますが、だからと言ってユーザー、エンドユーザー各社に対して、物を言わない存在である必要はないと考えます。そういう面では、我々は、市場の中で、「製品」ではなく、利用者が心から求める「商品」を探し、そうした利用者の1人が私たちではないかと気づくものです。

私たちが、「心」を合わせて、御得意先企業に利用者が求めるものを進言していくことも一つかもしれません。そんなことを考えています。エマナック総合研究所の歩みも、またそうした一つだと考えています。そのような志を持って、「 Let’s make the future with Emanak!」を企業スローガンとして発信していこうと考えました。意味は、「エマナック・グループと一緒に、私たちの未来を創っていきましょう!」というものです。その中でまた、世界の中で、悩まれているであろうユーザー企業各社に対しても、進言できる仕事をしていきたいと考えています。

ぜひ、一緒にやりましょう!